たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集

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 東雅夫編 平凡社文庫です
 「文学の極意は怪談である」と 佐藤春夫が言った・・・
 と 書いたのは三島由紀夫
 直接 本人が言ったとは限りませんが 実際 幽霊や怪異について
 多くの著作が残されています
 同時に 明治末期から 大正・昭和にかけての 文豪の実名が
 いっぱい出てきますので それもお楽しみです
 表紙の絵の家は「観潮楼」
 森鴎外の家の真ん前に 佐藤春夫は住んだことがあるのですね
 そこが 下宿屋で しかも「化物屋敷」だったとか
 また 夢の中で 亡き師・田山花袋と 野草の話をしたり
 谷崎潤一郎が泊まりに来て 泉鏡花先生と偕楽園で会ったところ
 ちょうどその日は 芥川龍之介の葬儀から一年目で 佐藤春夫の
 着ていた着物は 芥川からかたみ分けでもらったものだったとか
新潟の堀内大学の家に泊まりに行ったところ 夜分 厠の外で
与謝野晶子の幽霊が待っていた話とか
ほとんど全てに 当時の文学者との交流が伺えて へええ~と楽しく読みました
亡き師・亡き友が あまりに普通のように出てくるので
生死の境は 私たちの思うより ずっと曖昧なのかもしれない
そんな風に思える いい短編集です
そして 昭和20年以前の東京が いかに田舎びていたか
空き地や 草むらや 物陰の多い 寂しい町であったか
知らないのに懐かしい・・・そんな感じの短編集でした



 
 

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by tukineko-diary | 2018-08-19 18:17 | 本の話 | Comments(0)